保湿剤でアトピー3割低下

新生児に出生直後から毎日保湿剤を塗ると、約8ヶ月後のアトピー性皮膚炎の発症率は3割低下したとの研究成果を2014101日に国立成育医療センターが発表しました。
 

検証内容と結論

 
国立成育医療研究センターの研究チームでは2010年から3年間、両親や兄弟などの親類にアトピー性皮膚炎の患者や経験者のいる乳児118人を対象に2つのグループに分類し調査実施。
 

  1. 一日一回以上、入浴後などに保湿剤を全身に塗ったグループ(保湿剤を平均で7.8グラム程度を全身塗布)
  1. 特別なスキンケアをしないグループ(皮膚が乾燥した局所のみに軽く(10.1グラム程度の量)塗布)
 
生後 1週間目から約 8ヵ月間まで継続して行い、専門医によるアトピー性皮膚炎の有無を診断した結果、

「1.保湿剤を塗ったグループ」のアトピー性皮膚炎の発症率は、「2.特別なスキンケアをしなかったグループ」に比べて 32%も減少したことが分かったそうです。
 
 
引用
https://www.ncchd.go.jp/press/2014/topic141001-1.html
http://www.news24.jp/articles/2014/10/01/07260282.html
 
 
 
アトピー性皮膚炎の症状改善を検証するため、通院者に医師立会いのもと保湿洗浄剤を使用した試験を実施しました。
 
 
試験方法:子供の頃からアトピーで通院していて、ステロイドを手放せない症状の重い患者を 対象に 4 週間保湿洗浄剤を使用してもらい、効果を確認する。
 
試験場所:ゆかり皮膚科(大阪市北区)
 
 
Eさん アトピー性皮膚炎
 
幼少期よりアトピー性皮膚炎で、ずっと皮膚科に通院していたそうです。
なかなか症状が安定せず、常に外用剤はもらっていたそうです。
夏の夜中、多量の汗をかいて急に全身にあせもから誘発されたアトピー性皮膚炎が悪化し、全身にかゆみの強い湿疹病変が拡大してしまいました。
内服剤のみ併用して早速保湿洗浄剤の使用を開始し、2〜3日間でかゆみは少し治ったそうです。
ですが、乾燥は強く、2週間目から保湿クリームも併用し、保湿洗浄剤の使用量も増やしていただきました。
 
3週目から気候も穏やかになったせいもあって急速にかゆみも湿疹も改善し始めましたが、乾燥感だけは強く残ったので全身を保湿洗浄剤でマッサージ後、そのまま浴槽に浸ったところ、保湿効果は上がったそうです。
1ヶ月後の印象は全体を総じて 80%の改善を見られたと思います。
 
 
安達ゆかり医師 所見
 
本品のみの使用で皮膚症状が和らぐ例もあり、
皮膚炎改善に有効と言えます。
さらに薬と併用するとより早い改善が期待できます。
長期間、広範囲にステロイド外用剤を使うことに抵抗がある場合に、本品と併用することで外用剤の使用量を減らせる可能性があるでしょう。
また炎症後色素沈着も本品1ヶ月使用後にかなり薄くなっているので、
長期使用でさらなる改善が期待できると思います。
治りにくい手足の角化病変にもかなり有効で、朗報と言えるでしょう。
 
(※10名のアトピー患者に対し4週間使用した結果)
 
 

 
プロフィール
安達 ゆかり
ゆかり皮膚科院長
皮膚科医 産業医
関西医科大学大学院医学研究科博士
(内科系皮膚科学専攻 ) 「一酸化窒素と皮膚について」 「アトピー性皮膚炎とスーパー抗原について」研究
関西医科大学皮膚科学教室助手
大阪府済生会野江病院勤務を経て
ゆかり皮膚科開院
 
 
※本研究では、株式会社アビサルサルジャパンの「シュクレ シュガーリングマッサージ」を保湿洗浄剤として使用しています。
※学会誌ではシュガースクラブと表記。
 

赤ちゃんの皮膚は薄くバリア機能と皮脂膜がともに未熟で、外的刺激を受けやすい状態。
皮膚がふやけると余計に外部刺激に弱くなり、おむつが当たる部位に傷がたくさんでき、あっという間におむつかぶれになってしまいます。
 
そこで、おむつかぶれや臀部の発赤やただれなど、皮膚トラブルのある乳幼児の適切なスキンケアとして有効であるかを検証するため、保湿洗浄剤を使用した試験を実施しました。
 
 
対象:皮膚にトラブルのある0〜2歳の乳幼児32
 
目的:皮膚トラブルの予防及び改善の効果検証
 
場所:S保育園の沐浴室・シャワー室、H大学母性・小児看護学第3実習室
 
期間:20108月〜200810
 
実験方法:保湿洗浄剤でのスキンケア前後30分の水分量、弾力性、皮脂量を初回と1ヶ月間の使用後に測定。
38℃の湯に2分程入浴し、その後、保湿洗浄剤で軽くマッサージを行いシャワーで流すという簡単なスキンケア)
 
結果:乳幼児全体の水分値、弾力値、皮脂量が全て上昇。
1ヶ月間の長期使用により、乾燥肌やただれなど傷ついた皮膚が改善されていました。
さらにアトピー性皮膚炎と診断され、ステロイド軟膏を使用していた乳幼児3名は、軟膏を使用しなくてもよくなり、湿疹ができなかったとの報告がありました。
 
保湿効果に加え、バリア機能効果を発揮する保湿洗浄剤は、特に2歳以下の角質層の薄い乳幼児の皮膚トラブル改善のスキンケアとなると考えられます。
保湿洗浄剤によるスキンケアは、皮膚トラブルの改善と予防に有効であることが示唆されました。
    
 
股や陰部や肛門付近は、尿や便がおむつの中でむれ、かぶれやただれになりやすい箇所。
スキンケア後3日で改善し、1ヶ月後には下痢をしてもお尻がただれないように。
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学会誌 乳幼児のスキンケア
研究報告書 乳幼児スキンケアに関する研究(1)
研究報告書 乳幼児スキンケアに関する研究(2)
研究報告書 乳幼児(0〜2歳)のスキンケアに関する研究
※本研究では、株式会社アビサルサルジャパンの「シュクレ シュガーリングマッサージ」を保湿洗浄剤として使用しています。
※学会誌ではシュガースクラブと表記。